議席数に応じた中元すず香

断念の美学/未来を捨てた数だけ人は輝く

No Love, No Pain

西日に向かって運転していて、サングラスをかけてても眩しいくらいだったので、何を思ったか本当に1年ぶりくらいに「NO RAIN, NO RAINBOW」を流してみた。
たぶん "天気" つながりだったんだろう。

「NO RAIN, NO RAINBOW」というのは、みなさんご存知のとおり「そこそこの曲にまあまあなボーカル」のトラックであり、BABYMETALのライブの最中にSU-METALが突然中元すず香になってしまう悩ましい曲であって、私の中ではメタ太郎や空手と同じくらい敬して遠ざけている存在だったんだが、クソ眩しい景色の中で久しぶりに聴いてみたら、

普通の曲じゃん!

それから2日ぐらい、1曲リピートでずっと聴いている。パソコンにへばりついて仕事をしてるときも、洗い物をしてるときも、洗濯物を干してるときも、ずっと聴いている。

ぜんぜん普通の曲じゃん!!

普通の曲っていうのは、普通な感じでイイということ、つまりプロモーションビデオ向けってことだ。映像が付いて初めて完結する曲なのだ。だから "そこそこのまあまあ" でなければならなかった。そこそこのまあまあでも、メタルっぽいカッチョいいギターソロが入ってるから一応BABYMETALである。

私の頭の中では、いつの間にか「NO RAIN, NO RAINBOW」のPVができつつある。

服は生成りの肩出しワンピみたいなやつ。ポイントは常に歌っていること。間奏部分ではどうしたって歌えないから、口が動いてないショットはそれ以上いらない。イメージ的には満島ひかりみたいなウラ寂しい感じでいい。

窓辺にたたずむすぅ! 庭先でずぶ濡れになって叫ぶ裸足のすぅ! 平原の真ん中で髪が風になびくすぅ! そしてずぶ濡れのとこだけカメラ目線!

ベタでいいじゃん! べったべた上等じゃん! そういうのが見てぇんだよ。

ライブバンドとしてのBABYMETALしか要らないというならそれもいい。でも中元先生がいれば、どんな姿だってBABYMETALはBABYMETALではないか。いつもの戦闘服を脱いだらもうBABYMETALじゃないなんて誰が決めたんだ。ベタで凡庸なことをやったって、仮にも中元すず香なのだ。普通なことを普通にやって、タダでは済まないのが中元すず香じゃないか。普通に普通だったりもするのが中元すず香だけど。

どっちでもいいから、あんなBABYMETALも
こんなべっ、べっ、ベビーメタルも見せろ(ドモった)。

画面の隅に

NO RAIN, NO RAINBOW
BABYMETAL

と白抜きで入っていれば、忘れていたもうひとつの麗しい世界がよみがえる。

NRNRの再生回数は、すでにあわだまの3倍に達した。まだ止まらない*1

反対に、ライブも含めてビジュアルを一切排除してほしかった曲が1つだけある。
「掟破りの傑作」だったSis. Angerだ。そこには、優れたライブバンドが抱える逆説と限界がある。今はライブ映像を見ないようにして、最初に聴いたときの荘厳で宇宙的な感触を思い出そうとしている。でも振り付けが頭に焼きついてしまって、それ以外の聴き方がなかなかできない。

ざっけんじゃねーぞが野球の応援みたいだなんていうのを「聞き取る」ことと、それを実際に「見せてしまう」のとでは、ぜんぜん話が違う。そこでなんで「泳ぐ」んだようとか、フロントの2人は仕事でやらざるを得ないから仕方ないが、切ないことである*2。NRNRのプロモビデオとSis. Angerの問題には、自分で作った形式に囚われて身動きができなくなるという共通項がないですか。

 

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本当の星空って気持ち悪いんだ。

暗い山際まで白い点々が無数にブツブツブツブツあって、キレイだなんて微塵も思えない。その黒い山の向こう側にも延々とブツブツが続いているのかと思うと、よけいに背中の毛が逆立つ。ときどきストンと流れ星も落ちる。いま海沿いの町*3に来ていて星空を眺めてたんだけど、あまりのことに胸が悪くなったから慌てて部屋に引っ込んだ。

普段は星と言ったって、ちょうど上手い具合に数が減らされて、ああ星が出てるねとか呑気なことをほざいていられる。しかしそのデフォルメされた姿の向こうには、吐き気がするほど大量の実体が隠れているんだ。イヤな感じしかしない本当の姿がある。

イヤな感じ? それは「畏怖=awe」と言い換えてもいいんだけど、畏怖とか畏敬って、まずはイヤな感じ、怖い感じが先に来て、「ありがたすぎて怖いんだ」っていう理由に後で気づく。認識よりも効力が先に来るから、特に私のように愚鈍なタイプだと、怖くて気持ち悪い状態がかなり長い。

でも待てよ。誰かの歌声がスーッとした一本気な声にしか聞こえない人は、まだ「怖い」段階にも行ってないってことなんだろうか。その人たちに、「イヤな感じ」は訪れるんだろうか。オモテに見えている星の向こうのとんでもない実体に気づいて、思わず目を背けたりするんだろうか。

よく外人がバカみたいに "Awesome!" って言うけど、ほんとはAwesomeというのは、そんなめったやたらに使っていい言葉ではないはずだ。

中元すず香に対して発せられるAwesomeは正しいAwesomeであってほしい。たぶん違うと思うけど。

 

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もう政府もマスコミもいいかげんその「説明」っていうのやめないか。
国民が求めてんのは説明っていう名の強弁やウソや圧力じゃなくて、
単なる正確な記録と情報の開示だけだ。

誰かが思いつきで言い出した、内実があいまいで空虚な "標語" が無定見な価値を持たされて、
それにマジメな人たちが全力で心をこめて従う。

 

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えもーしょんがパッタリと動かなくなったのでこれで終わりにします。
残念ながら、私たちがウツツを抜かしているあいだに、BABYMETALというベビー服はすず香の体には合わなくなってしまった。ベビメタTを着て仲間内できゃあきゃあ言っているうちに、すず香は遥か先を歩いとるぞ。中元すず香の20代? 考えるだに恐ろしい*4。恐ろしいというのは、可能性の恐ろしさが半分、そしてその可能性が潰される恐ろしさが半分だ。新曲を出せば盛り返すとか、もうそんな段階ではないと思うがどんなもんでしょう。だから今後、まだ懲りずにサードアルバムを出すなどという愚挙に及んだら、愚挙に及んだら、またノコノコ出てきて文句の一つも言ってやろう。すず香の無駄遣いは許さんとかなんとか。*5
いやそれもいいか。やりたいようにやってください。

 


"Where troubles melt like lemon drops" と
"That's where you'll find me" のとこが聞き所だぞすず香ちゃん
君ならわかるよな

 

 

*6

 

しんみりと臆面もなく

 

 

"Every Little Thing She Does Is Magic" The Police
"My Girl" Madness
"Moon River" Andrea Ross
"When I Fall In Love" Nat King Cole
"Smile" Nat King Cole
"等了又等" 陳潔儀
"You'll Be In My Heart" Phil Collins
"And I Love Her" The Beatles
"Bus Stop" The Hollies
"怎麼捨得你" 張學友
"Thank You For The Music" ABBA
"The Story In Your Eyes" The Moody Blues
"Over The Rainbow" Judy Garland

*1:ちなみに生涯で聴いた回数が一番多い曲は、いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」である。初めて聴いた昭和44年から、単純計算で3000回は聴いている。ごく大雑把な計算だから、実際はそれ以上であろう。んなことを言ってるうちに、NRNRを中断してまた5回ぐらい加算された。

*2:最愛がまた律儀に気持ちを込めまくるもんだから、その切なさ哀しさはMAXである。

*3:静岡県伊東市富戸

*4:ただしいつまでもBABYMETALに縛られてると、なんとなくボンヤリとした感じで終わりそうな気がする。

*5:プロデューサーの個人的な趣味から生まれたBABYMETALがそれを超える大きなものに化けるには、演者3人の人間的な魅力をアピールしていくしか、実際のところ道はなかったはずである。それを一切やらないで途中までうまくやってこれたのは、さくら学院があったからだ。しかしそれもなくなったら、あとは音楽的な内容で勝負するしかない。でも「メタル」にこだわったところで、既存のメタルバンドを超える音楽なんか作れるわけがない。そうかと言って、ライブパフォーマンスの一回性に賭けるほど、アドリブがきくわけでもない。たまに何か「ハプニング」があったとしても、そんなものはどこのバンドにもあることだし、それはパフォーマンスそのものに一回性の価値があることにはならない。結局は、なんでいまだに毎回毎回そんなことをやってんのってことになる。そんなときに疑問の回答になるのが演者個人の人間性とか思いとか価値観なわけだが、いま現在、あの3人がどういう人間で、どういうわけでBABYMETALをやってるのか、さっぱりなんにもわからないのである。もはや自分を語る言葉すら忘れてしまったのではないか。ハタチと18で、さすがにもうそれはアウトだろう。むしろ海外のほうが厳しいんじゃないか。完全に「コミュニケーション不全」な存在になってしまったわけで、相当無理があると思います。どんなに惚れ合っていっしょになった夫婦だって、コミュニケーション不全になれば、あとは家庭内別居と熟年離婚が待っているだけである。

*6:けっきょく一番やりたかったのはこれかもしれん。ようは絶対にカブらないプレゼントを考えること。
あとのエントリはどうでもいいや

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