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べびーめたる趣味

普段使いのBABYMETAL

記憶のメルトダウン

 記憶があぶない。40年、50年前の歌手や俳優の名前は、たとえばカミさんが「ほら、あのボンカレーの人」って言っただけで「品川隆二な」とたちどころに返せるんだが、いま現在があぶない。品川りゅーじはただの「ボンカレーの人」じゃないけどな。

 こないだも「マラカンブ! マラカンブ!うぃっしゅ? うぃっしゅ?」と連呼しながら「北川景子」という名前がついに出てこんかった。なんで北川景子の名前が必要だったかというと、気象予報士蓬莱大介が誰かに似てると思って、あっマラカンブだっていうところまでは思いついたからだ。結局「兵庫県民の特徴的な顔なんだな」とか言いだして、ハタから見れば白痴同然である。しかもおれと同類の宝塚フリークである北川大先生の名前を忘れたとあっては、いよいよ年貢の納め時運転免許返納の時期なのかもしれない。

 ジジイの日記ブログか。

 BABYMETALだっていつ「どちらさまですか」になるかわからない。心身ともに健やかになるだろうから、むしろ出て行ってもらったほうがありがたいが、実際に記憶のメルトダウンは始まっている。そもそも一番最初に何を見て何を聴いたのか、まったく記憶にない。前にも書いたように、あるブログ記事を見てBABYMETALを知ったことはたしかだが、その後の消息が不明だ。それはまるで、生まれたときの記憶が何もないのに、いつの間にか "自分" という人間が始まっていて、いま当たり前な顔をして生きているのに似ている。いつおれは始まったんだ。

 とにかく気がついたら「紅月」を聴いていた。どうってことのない曲だった。

 曲が始まって、2分たってサビのリフレインに入って、「このカラダが」のところで引っかかった。"KONO" がおかしい。「こぉのぉ」だけが頭の中で拡大表示された。「こぉのぉ」だけが違う色で光った。ミルフィーユみたいな層が見えて、ウェハースみたいな味がした。「こぉのぉ」のとこだけを戻して聴き続けた。なんか東大寺みたいなデッカイ建造物と空間があると感じた。そこでパイプオルガンが鳴ったかと思った。ここでうっかり「宇宙が内包されている」とか言い出すお調子者もいるかもしれないが、そういうことはおれは言わん。言わんが、とにかく「こぉのぉ」を気がすむまで聴いた。

 「こぉのぉ」の部分を短くつづめてしまった Unfinished Version の楽譜を書いて渡したやつは万死に値する。何もわかっておらん。「このか、らぁだが」ではない。「こぉのぉかぁらぁ」でなければだめなのだ。フェイクというものを履き違えている。リズムがつんのめったら、その瞬間に歌が死ぬのである。そしてそれをライブの紅月の出だしで歌わせた人間も同罪だ。そんなことを指示したら、中元先生はそのまんま寸分たがわず忠実に歌い続けるではないか。もうやめなさいって3回繰り返して言い含めて、「アップデートしました」って言わせなきゃだめだ。

 だって神は細部に宿るんでしょ。ミクロな部分ばっかり見たり聴いたりしてると人間が愚痴っぽくなるが、「そこだけ聴いたらおウチに帰る」っていうカタクナな姿勢も少しは必要である。

 中元先生だって、本当はわかっているのだ。2014年のForumの映像を見よ。「こぉのぉ」のところだけ、SU-METALはパヴァロッティになっているではないか。

 

 「WOWOW録画しといたよ」とかカミさんが言い出した。余計なお世話である。中元すず香とミクロなやりとりをするのはもう疲れた。「この身体が滅びる」前に記憶が消え失せることを祈るばかりである。ポエマーか。

 

BABYMETALはもうやめたとか言ってて、また聴き始めたのか?
いやちがう。ぜんぶ記憶でデッチ上げている。
BABYMETALは性懲りもなく存続するらしく、
それで「老後の楽しみはまだ続く」とか言う御仁もいるが、冗談ではない。
こんなものに老後を捧げるなどまっぴら御免だ。身がもたんわ。

 

 

 

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