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BABYMETALいのち

「ナカモトっていいじゃん」としか言ってないので読む必要ないです

喋ってるだけで歌だしな

 

『Kind of Blue』マイルス・デイビス

とてもキレイないい音楽です。録音も抜群にいいですし。 

「寂寥感」「緊張感」「集中」「簡潔な美しさ」「芸術」「墨絵」――言われてみればそうかもしれません。

しかし「歴史的名盤」とか「畢生の傑作」と言ってしまうと、マイルスの才能ってそんな程度だったのか、もっと凄いんじゃないのとも思うし、「20世紀音楽史上の最大傑作のひとつ」とか「奇跡」とか、「ジャズというジャンルはこれ以上のものを生み出していない」とまで言っちゃうと、もうそろそろ警戒モードに入ってきませんか? そういうことを言いだすんなら、私だったら「パーカーはどこに行っちゃったの」ってきくしかありません。

ジャズみたいなヤクザな音楽を聴くんだったら、そういう言辞にうさんくささを感じ取るぐらいの感性は持っているべきだし、音楽の世界にはもっとすごい快楽はないんだろうかって考えるくらいの貪欲さがあってもいいでしょう。マイルスだって、「してやったり」って思ってるんじゃないの? アタマいいからね、マイルスは。

「モード」をキーワードにして "Kind of Blue" に作品単体を超えた付加価値をくっつけようとする人は、たぶんビバップの革新性や純音楽的な美しさに感動したことがないのだろう。また40年代以前のデューク・エリントンの豊穣な世界に触れたこともないんじゃないか。ビル・エバンスの70年代の作品群も忘れていませんか*1スタン・ゲッツがサックス1本で描き出す世界に酔ったこともないですか*2

"Kind of Blue" はとりあえず、よくできた「ムード・ミュージック」ではあります。でも、やめろと言ってもいつまでも頭の中で鳴り続けて離れないような訴求力はない。皆さんにとっては、これが最高の音楽作品なんですか?

 

 昔こういうレビューをAmazonに書いてえれえヒンシュクを買ったことがあるんだけど、Kind of Blueみたいに安心して褒められる、いくら褒めても誰にも責められない対象について、さらに美辞麗句を積み重ねて褒め上げて、一体何が面白いんだろうって思ってた。それから、なんでみんなそんなに音楽に対して淡白なんだろう、音楽を聴く快楽に対する貪欲さみたいなもんがないじゃん、もっともっとっていうのがないじゃん、Kind of Blueなんかで満足しててどうすんの、ジャズってもっとぐちゃぐちゃドロドロで色っぽいもんじゃねえの、だまされてるんじゃないかって一瞬たりとも考えることはないの、マイルスだってあっというまにカインド・オブ・ブルーなんか捨てちゃったじゃんとか思ってた。そして「ムード・ミュージック」と言ったのは、世の中のあまたのムードミュージックがどれだけ演奏家の修練で塗り固められてるか、きれいで聴きやすい音楽を演奏するのがいかに大変か、だからKind of Blueだけになんでそんな特権的な地位を与えてんのっていう意味でもあったし、せめてもの褒め言葉でもあった。

 それがいまや、よい子のおともだちBABYMETALが好きだとか言ってるわけですけど、それはたぶん、少なくともまだBABYMETALがギリギリ胡散臭さをとどめているからでしょう。こんなものの一体どこがいいんだろう、中元すず香ってどこがいいんだかさっぱりわかんないんだけど体が反応するのはなんでなのとか、悩み苦しむネタがいろいろ残ってるからに違いない。それにしても自分の中でその胡散臭さがこれだけ長いあいだ保たれているのは、さすがに尋常じゃない。半世紀以上音楽を聴いてきて、BABYMETALはもう神棚に近い位置にあるし*3、明日解散してもその位置付けは変わらんだろうなって確信するところまで行ってしまった。うん、なんか絶対だまされてるよな。

 でもBABYMETALもそろそろ、人目を気にする人でも堂々と安心して褒めそやして大丈夫、むしろBABYMETALについて語ると「おっ」とか言われそうな()、末期的でNHKな存在になってきちゃったし、このうえさらに仕事関係で会う人が全員BABYMETALを知ってるような状況になったら、おれの好奇心は耐えられるんだろうかとも思うけど、そうだな、たぶんそれでも中元さんのことは好きだと思う。

 なんか絶対だまされてる。

 

★マイルス*4の本質を喝破してるすばらしい文章があります。
BABYMETALについて考えるうえでも少し参考になります。
盤石だと信じていたものに対して、それは違うんじゃないのととりあえず言ってみる。
自分がメタル好きだったとしたらなおさら、
BABYMETALを使ってメタルをぶち壊して生まれ変わればいい。

http://www.bekkoame.ne.jp/~echika/wayne/memo2.html

マイルス・デイヴィスはさっさと卒業しよう。』 

 

 

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なかなかじょうずに書けません
でも私から見た中元さんは紫なので *5

 

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そういえば「もしかしたらナカモトって可愛いんだろうか」という音が
頭の奥のおくーのほうで初めてカサって鳴ったのが、
このビデオを見たときだったかもしれない*6
 

 

 BABYMETALも毎日聴いてると感覚が麻痺するので、1~2週間あいだを空けることがある。断食のお務めを終えてヘッドホンをかぶると、中元さんの声が聞こえた瞬間に腰から背中、肩にかけてぞわぁーーーーーーっっと炭酸の泡みたいなものが這い上がってくる。中元さんは強くて美しくて魔的な声を持っていて、体にこたえる。しかし断食明けの一曲目(ブレックファスト)を選ぶのも官能的な悦びになってしまった。

 

今日みつけたんですけど、話の流れというか言葉の選び方というか目のつけどころというか生きてる次元というか、これほど不肖わたくしと一言一句、細胞レベルに至るまで水と油な文章もなかなかないなと思いました。これこそが人々の共感を呼ぶプロのライターの仕事であって、こういうのが世界標準なんですよね。毒気にあてられて具合が悪くなりました

 

ふ。

 

そして実際に、この記事にジャストミートで共感しているブログを見つけた。

 

なぜかBABYMETALについて語るとこういう話の運びになるケースが多い。
「おっさんのカラーが単色」っていうのはそういうことなんだけど、
何か書き方のテンプレートでも用意されてるんでしょうか。

 

しかしいつもいつも何でもかんでも「90度お辞儀」をしていたら、
ほんとに敬意を表すときには穴でも掘るのかってことになるよ。
人にそんな大仰な身振りをされて、喜ぶほうがどうかしている*7
だってこれはもう、"他人に対する最低限の敬意" っていう範疇を超えてるからね。
それやられたら、こっちは土下座するしかないじゃない。
だって人は基本的に対等だもん。へりくだるにしても程度というものがある。
あなたはBABYMETALに直に対面して、
目の前で「90度お辞儀」をされたらうれしいか。困惑しかないだろう。
あるいは「こいつらバカにしてんのか」って思うかもしれない。
おかしいと思わないのは、もう何かの神経が麻痺してるってことなんだ。
大人はね、むしろそういう子供の行いをタシナメなければならんのだよ
せっかく他の部分がちゃんとしてるんだから。
本人たちが真面目にやってるからなおさら可哀想なんだ。
いっしょになって囃し立ててどうすんの。
のべつまくなしに感動してりゃあそれが愛情なんかい。

 

 

 

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いい気なもんだ。BABYMETALを味方につけて、自分らだけは安全なつもりでいる。
"SMASHING BOUNDARIES" と言うなら、真っ先に粉砕されるべきなのは君たちメタル業界だろう。
そうでないと、"We can overcome ANYTHING" が意味をなしませんぜ。
すぅ様はついにウルトラマンになりました。しゅわっち。

しかしなあ、写真の構図としてはいいと思うんだけど
もうちょっと菊地さんと水野さんを魅力的に撮れないもんだろうか。
さすがに今回は菊地さんも子狸ではなくなったし、
メタル雑誌の表紙なんかどうでもいいっちゃどうでもいいんだけど、
血の通った、知性もユーモアもある人間だとは思われてない気がする。

 

 

*1:ビル・エバンスはKind of Blueのキーパーソンだけど、70年代にはもっと深い演奏をしているからです。

*2:スタン・ゲッツはどんなときでも美妙で流麗なアドリブしか吹けなかった、まぎれもない天才でありました。
突出したプレイヤーにしか許されない「ウィズ・ストリングスもの」にしても、ゲッツがやると、まったく次元が違う恐るべき傑作 "Focus" になってしまう。

*3:BABYMETALは神棚に近い位置ですが、中元さんはもう神棚の奥で昼寝してます

*4:そういえば昔はスイングジャーナルなんかでも「マイルス・デビス」と表記していた。「デビスカップ」とおんなじだ。

*5:よく見ると私がイメージする中元さんを忠実に表した字体にも思えてきました。失敬。

*6:喋ってるだけで歌だしな

*7:ビートルズもコンサートでは極端なお辞儀をしていたが、あれはあくまでもステージ上の所作である。

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