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べびーめたる趣味

普段使いのBABYMETAL

中元さん

 人が30分で理解できることが30日かかります。

 そこまで愚鈍な私でも、菊地さんにずっぽりハマるまでは3分でした。

 生きとし生けるものすべての思慕を集めてしまう、菊地最愛のチカラを感じました。

 菊地さんの光はレントゲンとおんなじ速さで体をスキャンしていきました。

 でもいつも菊地さんと抱き合わせで現れて横にひっついてる女*1には、いっさい何の興味も湧きませんでした。いちいちここで挙げやしませんが、細かい要素の一つひとつが、全部ストライクゾーンから外れていたからです*2

 だいたい、声からしてナメクジみたいだと思ってました。ほら、ナメクジを呑むと声がよくなるって言うじゃないですか。声がよくなるんだったらナメクジでもなんでも呑めばいいけど、けっきょく呑んだんだよね? ナメクジ。みたいな感じ。喉がヌメっと湿ってる。私はどっちかというと乾いた頽廃的な声が好きだったので、ジトっと濡れた、生乾きな感じがイヤでした。

 この生乾きでジットリした、ぬるい体温を含んだ声の感触は、何かに似ていると思った。それは古い記憶にあった母親の声だった。私は幼いころから親との折り合いが悪く、のちに絶縁して葬式にも出なかったくらいなので、「似ている」と気づいたときにはこれは完全にアウトかなと思いました。タイムスリップして、若いときの母親に出くわしてしまったみたいに気まずい。でも殺意すら感じていた親にも青春時代があって、夢とかもあったのだろうかとか、もしおれという息子が生まれなかったら違う人生もあったのだろうかとか、くだらんことをちょっと考えて、もう少しつきあってみることにした。

 菊地さんのよさというのはほぼ瞬時に理解できて、その印象は今でもまったく変わっていない。

 変わってないんです。つまりそれ以上どこにも行かなかった。一定の周波数を維持したまま自己完結してて、こちらにあまり影響が及んでこない。そうこうしてるうちに、ずっとうしろから、ナメクジみたいな声をしたおねえさんがゆっくりと這い上がってきて、私のあらゆる価値観をことごとくひっくり返してしまいました。

 ここにも芸風の違いがある。菊地最愛は愛をふりまいて、こちらはその施しをもらって歓喜に打ち震える感じ。中元すず香は自分が磁石になって、見る者から愛を引っ張り出す。衆生の一人として愛を注がれるのが幸せなのか、逆に愛することを許されるほうが幸せなのか。どちらも幸せの形には違いないが、命が燃える思いがしたのは、あとのほうだった*3

 

私がはしなくも聞き取った体温のある湿潤性は、声の実在の確かさを意味するのであろう。
中元すず香の声は耳で触れる彫刻だ。

そして私が感じた近親憎悪は、声の浸潤力、もっと言えば腐食性の強さによるものだろう。それが強ければ、人の胸に穴を開けて、直接心臓を取りに行くことができる。私はその肉感のある声を、母性と間違えて反発したのである。しかしそれは前世のどこかで自分に慈愛を注いでくれた人間の声だ。

この先どんな技巧を身につけるのかは知らないが、それはせいぜい、絵筆の扱いや色の混ぜ方をおさらいするようなものだ。本質は何も変わらないし、中元すず香は最初から出来上がっているのである*4。あとは、上手い技芸と荒削りな芸術のどちらを鑑賞したいか、こちらの選択の問題だろう。

 

 あなたを目にしながら、何も見えず、何も聞こえず、何も感じることがなかった、わたくしの遅鈍をお許しください。せめて最期の瞬間には、おかしな角度でぐねぐねと捻れるあなたの両腕を思い浮かべて死にます。耳元で "See you!" と囁いてくだされば、地獄でもどこでも喜んで参りましょう。

 

 

 

 

 

中元すず香

高潔な骨組み― 

骨格(フレーム)が私に埋め込まれてしまった。

広くまっすぐ伸びる*5

 

 

*1:こいつだ

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*2:

なんでいつも菊地さんの横にくっついてるんだろうと思ってました
いろんな面で不自由な感じだけど
あんまりそんなことは気にしない人で
気にしてるのかもしれないけどとてもそうは見えなくて
三吉彩花さんに「正真正銘の天然」と吐き捨てられても平気だし
集合写真を撮ると残念な結果に終わる人でした
"メタルゴッド" とやらと写真におさまっても
菊地さんは婉然と美しく微笑んでいるのに
その人は泥を落としたゴボウみたいな感じです

ところが Metal Hammer の表紙のような
パブリシティー用の写真になると
急に涼しい顔でおさまって
菊地さんは子狸になる
水野さんはもう誰だかわかりません

ふだんからあれだけ愛を振りまいている菊地さんが
あまりにも不憫ではないか
― 怨念が生まれました

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*3:芸風の違いは大きいが、ステージの上での見栄えとかカリスマ性とか、放射する光とか、少なくとも見る側が現場で受けるインパクトに限っては、両者でさほど差はないと私は感じている。ただ中元すず香には、執拗に "あとを引く" 何かがある。存在を知った悦びと同等の "後悔" があるという言い方もできるだろう。体が元に戻らないくらいのダメージがあるのだ。菊地最愛は後味がサッパリしているが、やはりBABYMETALでなければ本来センターに立っている人である。むしろサイドには向いていないと言ってもいい。キャンディーズを知らなかったBABYMETALにはわからないと思うが、脇で地味に歌っていたランちゃんをセンターに置いたらあらビックリということである。

*4:実際、古いやつでも発声に余裕があって、表現も細やかで、ついついリピートしちゃうケースはけっこうあるし、だからどうしても "APOCALYPSE" がヘビロテになる。

 

*5:

おれの永遠の憧れの人は倍賞千恵子なんだが
どことなく中元さんと顔立ちに共通点がある気がしてきた。
明るくて芯が強くてゾッとする色気があって確実にイイ女なのに
なんかいつも寂しそうで
本質的にボッチな感じで
アプローチに工夫が要るタイプね。
(しかし「下町の太陽」は画面がほんとみずみずしいな。感覚が鋭い。
ショットが冴えまくってて、当時のフランス映画なんかにもぜんぜん負けてない)

にわかには信じられないが、リアルタイムでテレビを見ていた。
画像で見るとえらく古い感じがするのに記憶の中ではそうでもない。
ついでに言えば、他に好きだったのは芦川いづみ小川知子
そして最後に夢中になったのが史上最強のアイドル岡崎友紀である。

そんな私がリミッターを振り切った中元信者になりました。

 

小川知子がどんだけ可愛かったか君たち知らんだろう。
歌も上手かったし。これ口パクじゃないからな。
そして可愛いけど大人っぽかった。
こんときハタチぐらいだかんね。

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