議席数に応じた中元すず香

断念の美学/未来を捨てた数だけ人は輝く

英語の始末

 言いたいことは簡単です。愛があるなら、今度の新曲のために、中元さんに誰かきちんと英語の発音を教えてあげてください。

 BABYMETALの歌におおっぴらに英語の歌詞が入るのは、私はイヤです。日本語であればストレートに心を込められるし、発声にも余計な負担がかからないし、それで海外でも受け入れられたんだから、日本語で通せばいいと思ってます。言葉を大事に歌えば、意味は通じなくても、エモーションは捻じ曲がらずにそのまま伝わります

 でもどうしても英語を入れる理由があるなら、相応の配慮をしてほしい。*1

 言葉と発音が一体となった音声は、人の心であり生理です。肌身に沁みついた身体感覚です。敵と味方を嗅ぎ分ける目印でもあります。歌について言えば、発音は音楽の響きの美しさそのものに影響します。発音に問題があると、歌にひとつ余計な情報が加わってしまう。だから安易に扱ってはならない。

 日本人なんだから日本式の英語でいいじゃないか、どこの国の人間だって勝手な発音で英語を使ってるじゃないかという哲学を堅持したいのなら、いたしかたありません。でもそれは思いやりの心を持ってるはずの日本人には似合わない、傲慢な物言いです。それに、日本式のカタカナ英語(フィーリング英語)は、世界中の人が勝手に喋ってるように聞こえる英語と比べて、耳ざわりの点でも通用度の面でも相当なハンデがある。日本語の音声上の特性のせいです。英語のほうの特殊性という問題もありますが。

 英語は格好のいい意匠ではない。生身の人間の言葉です。生身の人間に対する共感があるなら、言葉を丁寧に扱ったってけっしてバチは当たりません。

 海外のファンは優しいから、どんな英語でも喜んではくれるでしょう。でもそこで止める必要はない。発音をきちんと学んで、誠意をもって言葉を口に出せば、その努力と真心は、英語を日常使う人の心に必ず届きます。それがBABYMETAL、そして中元さんの人間的な評価にどれほどプラスに作用するか、計り知れません。もちろん、それは歌の発声にも大きく影響します。

 細かい母音と子音の発音について、きちんと説明を受けて、ひとつひとつクリアしていけば、誰でもそれなりの発音は身につけられます。これは説明した経験があるのでわかります。中元さんみたいに吸収力の高い人なら、あっという間かもしれません。もし中元さんを大事に思うなら、そして言葉をないがしろにしたくないなら、セカンドアルバムでは英語についての配慮をしてほしいです。

 だってみなさん、中元さんの日本語の発音がキレイだって言うじゃないですか。だったら英語もキレイにしたって、無意味ってことはないよね? 英語の歌詞なんかやめちまうのが一番だが。

 BABYMETALが海外でも受け入れられたのは、意味不明な日本語を楽曲やパフォーマンスのよさでカバーしたから、ではないはずです。中元さんの歌に、音声としての言葉の美しさがあったからというのも大きな要素だと思います。 

 

 

 すべてのことについていい加減な民族ならべつにいい。でも、日本人が自負する「おもてなし」や「思いやり」が、どうして外国語にはさっぱり発揮されないのか。どうして「発音なんか気にしなくていい」みたいな傲慢なことを、外国語についてだけは平気で言えるのか。他のことではどんな努力でもするのに、どうして外国語にはそこまで冷淡なのか。そして、耳がいいはずのミュージシャンが、どうして外国語の音をコピーできないのか。いろいろ謎があります。 

 

 

 

*1:しかし物事には必ず例外があって、たとえば aiko の「be master of life」なんかは、"be master of me, be master of life..." が「び ますたーぼみー、び ますたーぼらああいふ、び ますたーぼらぶ、び ますたーぼ みゅーじいーっく」って、カタカナどころかひらがなで歌ってるようなもんだけど、ぜんぜんまったくおかしくない。あれはすげえわ。詩魂の一部になってるんだな。BABYMETALはそこまで突き抜けてない。

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