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BABYMETALいのち

「ナカモトっていいじゃん」としか言ってないので読む必要ないです

非国民

 BABYMETALという限定された表現に気をとられて菊地最愛という逸材が埋もれてしまったら、残るは百年の禍根である。おれはBABYMETALに一度は全面降伏した人間であるが、菊地さんの扱いに満足しているわけではない。BABYMETALという特異な世界の中ではそれも仕方がないとしても、いや仕方ないですましていいわけがない。子供の1年は年寄りの5年にもそれ以上にも匹敵するのである。菊地最愛という人物は、BABYMETALだけに活動を限定されるような才能ではない。BABYMETALが今後どれだけ大きな存在になったとしてもだ*1

 「YUI/MOAあってのBABYMETAL」っていうのは、ただの "キレイなまとめかた" にすぎない。与えられた境遇を水野さんと菊地さんが受け入れて、才能と根性でガチンコのパフォーマンスを作り上げ、見事に成功させたということと*2、BABYMETALが原理的にも実態としてもゆいもあの "ため" に作られたユニットではないという事実は、別の次元の話である。菊地さんが悲壮な覚悟でBABYMETALに取り組んでいる姿を見て、関係者が心を痛めることはないのだろうか。人間がデキた菊地最愛に甘えているのだとしたら、さすがにそれはヒドイぞ。

 「菊地最愛 > MOAMETAL」だったものが「菊地最愛=MOAMETAL」になり、さらに「菊地最愛 < MOAMETAL」になって、名目上は芸能の世界から「菊地最愛」というタレントが消えてしまったのだが、BABYMETALのファンはべつにそれでもいいというわけだな*3

 長年エクストリームメタルを聴いてきたうえで言うが、メタルなんていうのはロクでもない音楽である*4。ロクでもないものを愛好するところに妙味があるのだ。しかしそれは大人のスタンスであって、そんなものに子供を本気で巻き込んではならない。社会科見学、課外活動、シャレの範囲で十分である。本当に足を踏み入れたら、魑魅魍魎のアブナイ世界しか待っていない。子供のキャリアパスとして設定してやるようなものではない。子供が自発的に、好奇心で覗き込むならともかく、大人が率先して導き入れるようなところではない。断じてそんな安全な遊び場所ではない*5

 長期的な視点に立って、愛に満ちた親心でDisciplineを課すのならば歓迎しよう*6。あるいは学業をまっとうさせるためにBABYMETAL以外の活動をさせないというなら、それもいい*7。しかしそれがただ「現在」を消費する以外に目的を持たないのであれば、愛と美と知恵の過積載菊地最愛をそのくびきから解放したまえ*8

 

 

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惜しみなく与える君の誠実な生き方は必ず報われるだろう

 

*1:最初はブログのタイトルにも明記していたのだが、わたしは純度100%菊地最愛推しである。純度100%ということは、当然ながら菊地最愛をBABYMETALよりも上に置いているということである。菊地最愛とBABYMETALのどちらを生かすかと問われれば、迷うことなく菊地最愛を選ぶ。しかし今はその選択の自由がなく、また捲土重来を待つだけの時間も残されていないことが問題なのである。年寄りがぼんやりしている間に、愛と美と知恵のOVERLOAD、菊地最愛の時間は何十倍もの速さで過ぎているのである。

菊地最愛の唯一残された表現の場としてBABYMETALを全面的に応援していたのだが、レディング・フェスのときのSU-METALの「5年後」という発言を聞いて、自分の中で何かが切れた。気がついたら5年経っていたというのではなく、今この時点で、SU-METALの口から5年という言葉が出たことに驚いたのである。菊地最愛は、そして水野さんは、この先5年もの間、脇に付き従ってダンスとスクリームを続けていかなければならないのか。それとも何か別の構想があるのか。この5年発言の中で、菊地最愛水野由結という2人の実力者の5年という未来は考慮されているのか。もうSU-METALの周りをヒラヒラと飛び回っていた小学生ではないのである。ところが菊地さんまで、あろうことか「"stay metal" と言われたのでこれからもメタルを続けていきたいなと思いました」と言っている。BABYMETALというのはそれほどHEAVYで拘束力の強いものなのか。

*2:その部分が特に中高年の涙を誘うわけだ。与えられた役割に文句を言わず、仕事に一心に打ち込んで、高い技能レベルに達する。悪いことなど何もない。BABYMETALには日本人の涙腺を刺戟する要素が揃っている。そんな空気の中で、「君の本当の戦場はそこなのか」というメモ書きを慰問袋に忍ばせる私は、非国民のそしりを免れないであろう。

*3:ゆいもあがさくら学院を卒業してBABYMETALに専念できるようになった」っていうコメントを目にしたが、なるほどそういう感覚なんだなと思った。さくら学院のほうがBABYMETALの足枷だったってわけだ。「菊地最愛」というのは、ステージを降りたMOAMETALが単に素に戻った状態にしかすぎないんだろう。しかしBABYMETALを見ていれば、おれのように相当愚鈍な人間であっても、菊地最愛という傑出したタレント(才能)には気づくはずだと思うんだが。そしてそのタレントが、BABYMETALという枠にはぜんぜん収まらないレベルであるということにも。とにかく、BABYMETALの存在が絶対で、菊地最愛はあくまでその枠の中で自己実現を図らなければならないというルールがなぜ無条件に受け入れられているのか理解できない。それは水野さんについても同じである。おれは100%最愛推しであるが、水野さんの価値がわからないわけではない。"あの" 水野由結が、無期限にYUIMETALとしてしか活動できないことの意味が、BABYMETALファンにはわからないのだろうか。「BABYMETAL=最高の自己実現」という構図が当てはまるのは中元さんだけだ。

*4:演奏自体は高いスキルが要求される求道的なものであり、技術を極めれば神とも称えられるが、ファンを含めた文化全体は単細胞でクソである。そこに得も言われぬ味わいがあるのである。人間なんてしょせんアホで野蛮で、音楽を聴くにしたってただデカイ音と速いギターとおセンチなメロディー(クサメロ)が好きなだけなんだと自覚できるところがいいのである。今おれは In Flames の "Colony" を聴きながらこれを書いてるが、いいアルバムだぞ。

超絶ドラマーのRomain GoulonがいたDisavowedは、ブルデス(Brutal Deathmetal)の中でも荘厳さと気品が感じられるバンドであった。

Disgorge (Mex) は一貫して好きです。しかしこんなもんを菊地さんに聴かせようとは思わんよな。なんでメタラー諸君はBABYMETALを仲間に引き入れようとするんだい。「来るんじゃない!」って言うのが普通じゃね?


ゴアグラインドってどうしてもサウンドがスカスカになりがちだけど、Disgorge (Mex) は重厚感をちゃんと表現できているところがいい。メンバーの音楽性が高いからだろう。緩急自在で聴きどころがみっちり詰まってるし、ドラムの人も音楽がよく身についてる気がする。単位時間あたりに投入されてる情報量と精神の分量が多くてコスパが高い。フリージャズの発展形態とも言えるし、今でも聴くたびに静かに "感心" してしまう。本音を言えば、メタルというジャンルで本当に聴く価値がある作品は、この "Forensick" 以外にはそんなにないんじゃないかと思っている

*5:菊地最愛に本気で「メタル」をやらせようなんていうのは、正気の沙汰ではない。もちろん曲の作り手にとってはメタルは単なるモチーフにしかすぎないはずだが、問題は昔のアイアン・メイデンやスレイヤー、あるいはハロウィンあたりに淡い郷愁を抱いてるオッサンがBABYMETALを目撃して、なにかメタルが素晴らしいものであるかのような観点から、BABYMETALを仲間に引き込もうという色気を出してることである。「メタルの復権」とか、真面目なバカは言うことがふるっているメタルとBABYMETALの間には地底世界と成層圏くらいの距離があるのに、メタルの分際で何をトチ狂っておるのだ。まあそんなヤカラよりも菊地さんのほうが百倍賢いはずで、メタルのことなぞ鼻で笑ってボキャブラリーの一つとして消化できると信じてはいるが、こうも周りがメタルメタルと騒ぐと、どこまで正常な距離感を保てているのか心配ではある。レディング・フェスでの「stay metal」発言がリップサービスで終わることを祈るしかない。

*6:統計によればBABYMETALのファンは中高年の層が厚いらしいが、中高年が関わるとどうしても高校野球みたいな話になるからシラケるんだ。「チームベビメタ一丸となって」とか「修行」とか言い出すともういけない。そりゃあやってるほうだって、達成感も感動もあるだろうし、成長の実感や高揚感も得られるだろうし、教育上悪いわけでもない。しかし「いつも全力投球」とか「決して手を抜かない」とか、あんまりそういう面ばかりに感動してると、日本人は簡単に「個は全体のために」とか「滅私奉公」とかまで行っちゃうから、よくよく注意しないといかんぞ。

*7:高校1年の一学期からワールドツアーを敢行していることからみて、学業のことは一顧だにされていないのは明らかである。

*8:過積載だから、行く道々で愛と美と知恵をバラバラバラバラ撒き散らす。そのかけらに触れた者が次々にBABYMETAL信者になってMOAMETALが固定化されるとしたら、元も子もない気がする。しかしそれが「惜しみなく与える」菊地最愛の生きる道なのであれば、おれにはそれを見つめ続ける道しか残されていない。菊地最愛菊地最愛」が戻ってくる日を、グズグズと文句をたれながら待っていよう。

 

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