読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

べびーめたる趣味

普段使いのBABYMETAL

吸い取られる感じ

今さらだけどBABYMETALってまだ一人残らず未成年なんだよな。

忘れてた。忘れるくらいオトナになった。

しかし中元さんですらまだ成年に達してなかったというのは意外に意外である。

年をとると1年が昔の数箇月のスピードで過ぎていくが、BABYMETALを見るだの聴くだのするようになってから、そのスパンが子供並みに長尺になった。時間感覚の混乱が生じている。

今や2013年、2014年なんていうのはものすごく昔なわけである。年の差40歳という宿痾とも言うべきハンデを抱えながら、時間の経過が未成年とシンクロしてしまったら、体が変調をきたすのも道理だろう。

そしてそれだけの時間が経過しているのに、中元さんはまだ未成年なのである。

なんかゆっくりと頭の中がねじれてきた。

しかし普通は、ひとん家の子供というのはあっという間にデカくなるはずだ。ついこのまえグアム土産にABCストアで買ってきた電動チュッパチャップスをおれの手から引ったくって行った隣の幼女も、気がつくと立派なJKになってシオらしく「こんにちは」とか言うのである。

この違いは何か。たぶん心理的な密度が一線を越えたのだ。
隣の幼女はわりかし美人になったが明確に他人であり、基本的に何の関心もない。

若いもんに精を吸い取られるというのは、ああいうことではなくてこういうこと、つまり心理的な距離がせばまったおかげで時間感覚が無理やり引き伸ばされて、皮がカチカチで融通が利かなくなった袋にゴタゴタといろんなものを押し込まれるってことなんだろう。だから目に見えて衰弱する。

BABYMETALを知ってから一貫して身体機能が低下してるのはそのせいに違いない。
だから苦し紛れにひとん家(中元家)の娘の生き方にあれこれ口を出したくもなるんである。
夜中にひとん家の玄関の前に立って恨みごとをワメキ散らす迷惑なジジイと変わらないが、
たまに横から見るSU-METALはいつの間にか背中のラインがすっかり大人になっているので、
中元さんですらまだ成年に達してなかったというのは意外に意外である。

本当は、若いのに密度が濃い人生で立派だなっていう話をしようと思っていたのである。

通報される前に黙ります。

 

--------------------------------------------------------------------------------------

 

ライブが上手いバンドはついついライブ盤ばっかり聴くことになるが、スタジオ録音のレコードが伝える「正しい姿」に襟を正したりもするのである。ギミチョコの正しい姿とは、「笑わないこと」だ。オリジナルのSU-METALの歌は笑っていない。シレッとニュートラルでツンデレで、オシロスコープの波形がフラットである。このオズオズとした距離の取り方がギミチョコだ。そして終わりの「だから ちょっとハート ちょっとだけ お願いなんです」で初めて表情が変わる*1。ライブのSU-METALの歌は最初っから笑いっぱなしである。だから「その瞬間」の有り難みがない。この歌はそういう形で聴衆にアピールし始めると、一部分だけだが曲が死ぬのである。

大人になったSU-METALは立派かもしれないが、2013年だけを切り取っても中元先生には見るべきものがあるから、頭のねじれが治らない。2013年のイジメダメにも、2017年とは違うエメラルドがあった。

 

--------------------------------------------------------------------------------------

 

痛くないなあ。ぜんぜん痛くない。こういうのが一番アブナイんだ。

水野君の声は、明確な個性という名の表面加工が施された注射針であって、ゴリゴリと痛い。ロックシンガーはそうでなければいけない。ここに刺すぞと宣言して、その個所をあやまたずに刺す。ぶっ刺す。血も出る。普通はこういう人がリードボーカルをとるものだ。

最愛ちゃんは人を信服させる大人(たいじん)の風格があり、毒を持った言葉を自在に操ることもできるが、その声はなぜかフニャフニャで一切引っかかりがなく、嫌味もなく、いいニオイのする貼り薬になって、有効成分が広範囲にしみじみと浸透する形だ。聞き続けると健康になってしまう "声のトクホ" だが、こういう人は一体どこで歌えばいいのだろうか。

問題児はやはり中元先生である。声にハッキリとした指向性があるが、抵抗というものが完全に排除されている。個性がなければ生きられない世界で、個性というものの意味がまるでわかっていない。完全に抵抗のない指向性とは、すなわち痛くない注射針である*2。痛くないからどこまでも深く入っていく。何回でも刺す。その根元にはメロメロした糖分が配合された中毒性の高い薬液が仕込まれていて、贅沢ヨーグリーナ&天然水みたいな味もするが、容赦なく心身が冒される。

それは、妹や従姉妹(いとこ)と喋ってるときの何とも言えないイヤな感じにも似ている。自分に直接的な害を加えることはないだろうが、何か長いスパンで人生に影響しそうな、人生が左右される爆弾が潜んでいるような、生ぬるい圧迫感がある声だ。警戒しなければいけないのだが、声を耳にすると、「警戒」という言葉の意味を忘れてしまう。本当に危険なものが世に出てしまったと思う。

 

*1:実際には最初の「C!I!O! チョコレート チョコレート チョ!チョ!チョ!いいかな?」の突き放した歌い方が、2番めの「C!I!O! チョコレート チョコレート チョ!チョ!チョ!いいよね?」では消えているというわずかな変化はあるが、ややこしくなるからそこまでは言わん。

*2:"痛くない注射針" の存在を知らんと話にならんのだが。

f:id:lookwho:20170122001948j:plain